ソニーミュージック、Napsterに対し未払いロイヤリティを巡る訴訟を提起
基本情報
- タイトル: Sony Music Sues Napster Over Missed Royalty Payments
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概要
ソニーミュージックエンターテインメントが、ストリーミングサービス「Napster」の運営会社Rhapsody Internationalに対し、920万ドルの未払いライセンス料および追加として3,600万ドルの著作権侵害損害賠償を求める訴訟を提起した。
主要ポイント
- ソニーが1年以上にわたる未払いロイヤリティ問題でNapster運営会社を提訴(請求額は約4,520万ドル)
- 2025年3月にInfinite RealityがRhapsody Internationalを2億700万ドルで買収後、支払い計画に合意するも未履行
- ライセンス契約を終了したにも関わらず、Napsterは引き続きソニー楽曲を配信し続ける
- 240楽曲リストに基づき、楽曲1作品あたり15万ドルの損害賠償を求める(総額3,600万ドル)
- 他にも複数のレーベルや流通業者がNapsterに対し同様の未払い問題を抱えている
詳細要約
1. 訴訟の概要(原告、被告、争点)
原告: ソニーミュージックエンターテインメント
被告: Rhapsody International(Napster運営会社)
争点: 920万ドルの未払いライセンス料および3,600万ドルの著作権侵害損害賠償
2025年8月1日、ソニーミュージックエンターテインメントはマンハッタン連邦裁判所において、Napsterの運営会社Rhapsody Internationalを相手取り訴訟を提起した。ソニー側の主張によると、Napsterは1年以上にわたってロイヤリティの支払いを怠りながら、同社の楽曲カタログを配信し続けているとしている。
2. 訴訟の背景と経緯
2025年3月、Web3スタートアップのInfinite RealityがRhapsody Internationalの親会社を2億700万ドルで買収した。買収時点で、Rhapsodyはソニーとその子会社に対し650万ドル以上の債務を負っていた。この買収により、Napsterとソニーミュージックエンターテインメント間のライセンス契約における条項が発動され、ソニー側には契約破棄の権利が発生したが、Rhapsodyが4回の分割払い計画に合意することを条件に契約継続を認めた。
3. 具体的な請求内容や損害額
- 未払いライセンス料: 920万ドル
- 著作権侵害損害賠償: 3,600万ドル(楽曲1作品あたり15万ドル×240楽曲)
- 総請求額: 約4,520万ドル
訴訟文書には240楽曲のリストが添付されており、これらの楽曲に対する故意の著作権侵害として、楽曲1作品あたり15万ドルの損害賠償を求めている。
4. 両社の主張や立場
ソニー側の主張: - Rhapsodyは買収後、既存の未払い残高に対する支払いも、追加のライセンス料の支払いも行わなかった - 「被告は数百万人の有料ユーザーから購読料を徴収し続けている」状況が継続 - 5月に契約違反を通告し、6月にNapsterとのライセンス契約を終了 - 契約終了後もNapsterがソニーのカタログ楽曲の配信を継続しているのは「故意の侵害」
Napster/Rhapsody側: 記事執筆時点でコメントは得られていない(Pitchforkがソニーミュージックの代理人にコメントを求めている)
5. 音楽業界への影響や意味
この訴訟は孤立した事例ではない。2022年にはソニーが短編動画アプリTrillerに対して類似した状況で訴訟を起こし、Trillerは翌年に責任を認めて450万ドルを支払った。Billboard誌の報告によると、Napsterは少なくとも6社以上の他の流通業者やレコードレーベルから遅延ロイヤリティ支払いの告発を受けており、SoundExchangeからも未払いロイヤリティを巡って訴えられている。
この状況は、ストリーミング時代における音楽業界のロイヤリティ支払い問題の深刻さを浮き彫りにしている。特に企業買収が頻繁に行われる現在の音楽テック業界において、既存の契約義務の継承と履行が重要な課題となっている。
6. その他の重要なポイント
Napsterの歴史的変遷
Napsterは1999年にデジタル・ピアツーピア・ファイル共有プラットフォームとして開始され、音楽海賊版の温床となったが、2001年にレコーディング・インダストリー・アソシエーション・オブ・アメリカによる訴訟で閉鎖された。その後の所有者変遷:
- 2008年: Best Buyが買収
- 2011年: Rhapsody Internationalが買収
- 2016年: RhapsodyからNapsterにブランド名変更
- 2020年: MelodyVR(ロンドンベースのVRライブ音楽プラットフォーム)が買収
- 2022年: ブロックチェーン企業Algorandが買収
- 2025年: Infinite Realityが買収
業界パターンの示唆
Napsterの事例は、複数回の所有者変更が企業の財務的安定性と契約履行能力に与える影響を示す典型例といえる。頻繁な買収により企業の経営方針や財務状況が不安定化し、既存の契約義務の履行が困難になるパターンが見受けられる。
結論・示唆
この訴訟は、ストリーミング時代における音楽業界のロイヤリティ支払い問題の深刻さを浮き彫りにしている。Napsterブランドの歴史的な変遷は、音楽業界のデジタル化とストリーミング革命の象徴的な軌跡を表している一方で、現在は合法的なストリーミングサービスとして運営されているにも関わらず、財務的な安定性と業界標準的な契約履行において継続的な課題を抱えている状況が明らかになった。
特に企業買収が頻繁に行われる現在の音楽テック業界において、既存の契約義務の継承と履行が重要な課題となっており、今回の訴訟はその典型例として業界全体に影響を与える可能性が高い。