Deftones『private music』レビュー総まとめ(Stereogum × Pitchfork × NME)
基本情報と文脈
- アルバム: private music(5年ぶりの新作/10作目)
- アーティスト: Deftones(サクラメント)
- プロデューサー: Nick Raskulinecz(『Diamond Eyes』『Koi No Yokan』でタッグ)
- レーベル: Reprise/Warner
- リリース: 2025年8月22日(予定)
抽出日: 2025年8月21日
参考レビュー:
- Stereogum: Premature Evaluation – Deftones 'private music'(URL: https://www.stereogum.com/2319349/premature-evaluation-deftones-private-music/reviews/premature-evaluation/)
- Pitchfork: Deftones – private music(Review by Sadie Sartini Garner/URL: https://pitchfork.com/reviews/albums/deftones-private-music/)
- NME: Deftones – 'Private Music' review: another career high(URL: https://www.nme.com/reviews/album/deftones-private-music-album-review-3885520)
メンバー
- Chino Moreno(ボーカル/一部ギター)
- Stephen Carpenter(リードギター)
- Abe Cunningham(ドラム)
- Fred Sablan(ベース)
- Frank Delgado(キーボード/サンプル)
概要(3媒体の論調を統合)
Deftonesは、かつて「ニューメタルのB級」と見なされた時期を越え、いまや90年代以降で最も尊敬され影響力のあるバンドの一つへと確固たる地位を築いた。『private music』は2020年の傑作『Ohms』に続く5年ぶりの新作で、バンドの独特なサウンドを完全にコントロールした芸術的成功作として評価されている。
Stereogumは、TikTokのシューゲイズ潮流に迎合せず、Deftones固有の美学を貫く姿勢を高く評価。Stephen Carpenterの復調と怪物的なギターワーク、Chino Morenoの数年来で最高水準のボーカルを強調する。一方Pitchforkは、重厚さと美しさを同時に成立させる「逆転」の美学を30年かけて更新してきたことに焦点を当て、いま作では「分からなさ」への安らぎすら感じられるとする。NMEは、Nick Raskulineczとの再結集が功を奏し、ジャンルを超越する懐の深さと、世代横断的な求心力を持つ「最も信頼できるロックバンド」としての風格を再確認するレビューだ。
注目トラックと音像のキーポイント
- Stereogumがベストと推す「"milk of the madonna"」を筆頭に、「"ecdysis"」「"souvenir"」「"cut hands"」「"i think about you all the time」(シューゲイズ色)」「"infinite source"」など、重厚なリフと夢想的テクスチャのバランスが良い。
- Pitchforkは、Tim Heckerによるハーディ・ガーディのため息のような間奏曲で導入し、「"cXz"」で夢見心地のコーラスを聴かせつつも、Abe Cunningham主導のスタッカートで推進力を変化させる構図を指摘。「locked club」ではCarpenterの親指での軽いピッキングが、硬質さと柔らかさを併せ持つリフを生むと描写。
- NMEは、リード曲「"My Mind Is A Mountain"」の存在とともに、「"Locked Club"」の攻撃性、「"I Think About You All The Time"」のロマンティシズム、「"Departing The Body"」の映画的な幕引きまで、レンジの広さを称賛。
サウンド/プロダクション
- Nick Raskulineczのもと、2010年代以降の代表作群に連なる高品位な音響。Pitchforkは「2003年以降のDeftones作品に一貫する、信じがたいほど優れたプロダクション」と評価し、洗練度を映画『John Wick』シリーズの4K映像になぞらえる比喩も紹介。
- 重厚な8弦主導の圧と、空間系やアンビエント的処理の「美」を同居させるDeftones的逆転が、今作でも新たに反復・更新されている。
バンドの現在地と文化的影響
- 90s以降の再評価により、RadioheadやBjörkと同等の「アヴァン・ロック」カテゴリに比肩する存在とする見解(Pitchfork)。
- Marc Jacobsとのコラボ、過去曲「Sextape」「Cherry Waves」のストリーミング人気、Gen Zのシューゲイズ潮流における特異点としての立ち位置(Stereogum)。
- TikTokでのバイラル現象を横目に、安易なトレンド迎合に陥らず独自性を維持した点(Stereogum/NME)。
肯定的評価(要約)
- 独自性の堅持: トレンドに乗らず、Deftonesの核を研ぎ澄ませた。
- ギターワークの復調: Stephen Carpenterの復活と圧倒的な演奏。
- ボーカルの充実: Chino Morenoが長年で最高レベルのパフォーマンス。
- 強靭なリズム設計: Abe Cunninghamのドラムがダイナミクスを牽引。
- 高品位プロダクション: 近作に通底する洗練と空間設計の巧みさ。
批評的観点(示唆)
- 記憶に残る巨大コーラスの不足: さらなる「歌」の勲章を望む声(Stereogum)。
- 既存ファン・バイアス: コア・ファンに強く響くがゆえに、外向きの挑戦拡張にも期待(Stereogum)。
総評
『private music』は、重さと美しさの逆転というDeftonesの長年の命題に、2025年時点の最良解で応答する作品だ。Stereogumは独自性と演奏面の復調を、Pitchforkは逆転の美学の成熟と「知らなさ」への安寧を、NMEはキャリア・ハイの連続性と世代横断の求心力を強調する。結果として本作は、既存ファンに確かな満足を与えながら、新しい聴き手にもDeftonesの核心をダイレクトに伝える、堅牢かつ開放的なアルバムに仕上がっている。
補足情報
- NME公開日: 2025年8月19日/著者: Andrew Trendell/推定読了: 3–4分
- Pitchforkレビュアー: Sadie Sartini Garner
- 影響範囲: Deafheaven、Nothing など後続バンドにも大きな影響(Pitchfork)
参考リンク/クレジット
- レビュー: Stereogum, Pitchfork, NME(各URLは上記参照)
- メンバー: Chino Moreno, Stephen Carpenter, Abe Cunningham, Fred Sablan, Frank Delgado
- プロデューサー: Nick Raskulinecz / レーベル: Reprise/Warner / リリース: 2025-08-22(予定)